「さるまね」は吉田薫の作品です。
2022年からゼノン編集部で連載を開始。2023年10月時点で4巻まで発行がされています。
突如、山から現れた猿たちは人間の行動を見る事で瞬時に覚えて同じことをして襲い掛かってくる狂暴な生き物でした…そのことを知らない村人が猿を殺すために銃で撃ってしまいます。猿たちから銃を奪われて襲われる村人たち…。
天明3年(1783年)の江戸時代の東北地方の山村が舞台のサバイバルでパニックホラーな作品です。
何故夜だけ狂暴になるのか…得体の知れない猿の恐怖にハラハラしてかなり引き込まれてしまう展開。絵もキレイでかなり面白いので早く続きが読みたい作品です。
天明三年。世では飢饉による食糧難のなかでも、主人公の可畏が住む山村では野生の動物を狩ることで他よりも幾分良い生活ができていた。しかし、ある日山で迷ったという男が村に来る。一向に目を合わせようとしないその男を訝しむ可畏だが、家族とともにもてなす。そしてその夜、村の外れではさらなる招かれざる獣が入り込んでいた…。
引用元:ebookjapan
「さるまね」はどんな作品?
江戸時代の山奥の村に狂暴な猿たちが襲ってくるストーリーです。
人間が石を投げつけたら猿も同じように石を投げて攻撃をして来て…人間が刃物で攻撃をしたら同じように刃物で刺してくる…。
猿たちは人間の行動を観察していて一回でも見たことは完璧に模倣して人間に対して同じことをしてきます。
村人たちはそこらへんの普通の猿と思って包丁や狩猟用の銃で攻撃をしてしまったため、猿たちも武器の使い方を覚えてしまい、刃物や銃を使って人間たちを攻撃をして来るようになってしまいます。
猿たちが狂暴になるのは夜だけ…。朝まで生き延びた村人たちが見たのは山に帰っていくとてつもない数の猿たち…。
何とか朝まで生き延びた村人たちの被害は甚大…。再び迫ってくる夜に村人たちは生き延びることが出来るのか…。
- 山奥の村で生活する村人たち…そこに突如として狂暴な猿たちが襲ってきます。
- 猿たちは人間の行動を観察していて人間と同じことをしてきます。
- 何も知らない村人は猿たちにを銃を撃ったり火で焼き払ってしまいます…。
- 銃や火の使い方を覚えた猿たちは銃や火を使って村人たちに攻撃をしてきます。
- 猿が狂暴なのは夜だけ。村人たちは生き延びることが出来るのか…。
「さるまね」のあらすじ
天明三年(1783年)の江戸時代の秋田藩領北部の山村で暮らす可畏たち。
荒天続きで作物が不足していたため、可畏たちは冬を越す食糧を獲るためイノシシ狩りに来ていました。
可畏は村の狩猟隊たちで追い込んだイノシシを銃で狙撃する役割を担っていましたが、イノシシが子供を連れていたため情が移ってしまい…引き金を引くことが出来ずに取り逃がしそうになりますが…一緒にいたアグニがイノシシを仕留めて何とか食糧を確保することが出来ました。
村人が冬を越すために食糧を獲って帰らなければならないのに銃を撃てなかった可畏…。
可畏は「村人が冬を越せずに死んでも良いのか!?」…と頭領のバラタから怒られてしまいます。
アグニがバラタをなだめてイノシシの解体を始めますが、その時、可畏は誰かの視線を感じて後ろを振り返りましたが、そこには一匹の猿以外には誰もいませんでした。
自分たちを見ている猿に「俺たちの食糧を奪いにきたのか?」…と石を投げつけるアグニ。
石がぶつかって顔から血を流しながら無言でじっと石を見つめる猿…。
猿はその後、アグニの行動を真似て腕を振るような動きをしていましたが…可畏たちは気にせずにそのまま村に帰っていきました。
村に戻って来た可畏たち狩猟隊。
食糧不足で苦しんでいた村人たちは狩猟隊がイノシシを獲って来たことを知って歓声を上げて喜びました。
その夜、家の中で可畏が前頭領で父親の多聞と話をしていると、ドアを叩く音がして、よそ者の男が訪ねてきました。
男の名前は伊邪凪。
山?一つ越えた森吉の村から来たと言う伊邪凪に多聞が「何故そんなに遠くからきたのか?」と尋ねたところ、男は村の食糧が尽きたので獲物を探しに山に入ったと答えました。
久々に獲物が獲れて浮かれていた村…。
よそ者が来たことで村人たちに水を差したくなかった多聞は伊邪凪に「悪いが…明日の麻には帰ってくれ」と伝えますが、男は話をしている間…誰とも目を合わそうとしませんでした。
可畏の妻の水分が「休むなら納屋を使ってください」と言って可畏たちは就寝をしましたが夜中に家の中から音がしていること気づいた可畏が起き上がると…そこには家の食糧を勝手に食べていた伊邪凪がいました。
冬を越すための大切な食糧…。
「食糧を勝手に食べないでくれ…」と伊邪凪を止めようとする可畏…。
はじめて目が合った伊邪凪は「死にたくねぇ…奴らに見られたら終わりだ…」と言って怯えだしました…。
その頃、アグニの家には昼間の猿たちが現れていました。
石をぶつけられて気を失っているアグニ…妻の由良は猿たちに強姦をされそうになっていました…。
駆け付けた可畏が猿を追い払って意識を取り戻したアグニが包丁で猿を殺そうとしますが…。その瞬間、可畏は猿たちの視線に寒気を感じました。
可畏が「嫌な予感がするから猿から離れろ…」と言った直後、アグニは猿から刺されてしまいました。
アグニがイノシシを解体したのと同じようにアグニのことを解体しようとする猿たち…可畏は猿たちを止めようとしますが、伊邪凪から腕を掴まれて止められて「猿は刃物を使えば刺される…猿に見られたら終わりなんだ…人間は逃げるしか無い…」と言われ…。
「さるまね」の登場人物
可畏(かい)
村の狩猟隊のメンバー。
動物の顔が見分けられるため、情が移ってしまい狩りが出来ない優しい性格。
獲物を獲って来れないことで村人たちからは無駄飯食らいとバカにされている。
猿たちの顔も見分けることが出来るが、妻や息子たちを守るために猿に立ち向かっていく。
バラタ
村の頭領(シカリ)。
村や狩猟隊を統率している。猿に襲われた後も村を守るために村人たちをまとめようとするが、昔から怒るとすぐに手が出る感情的な性格のため一部の村人からの人望が薄い。
何者かに殺された村人を発見したことから不満を持っていた村人たちから村人殺しの疑いで拘束されてしまう。
アグニ
村の狩猟隊のメンバー。
バラタや可畏とイノシシ狩りに行った際に出会った猿に石を投げつける。
家で妻の由良とセックスをしていたところを猿たちに襲われる。
包丁を使って猿たちを殺そうとしたが、包丁の使い方を覚えた猿から刺されてしまう。
水分(みくまり)
可畏の妻。妊娠をしていてお腹が大きくなっている。
可畏のことを理解している優しい女性だが妊婦を強姦したがっている伊邪凪に襲われてしまう。
宇陀(うだ)
可畏の長男。
村人たちからバカにされている可畏のことを意気地が無くて恥ずかしいと思っている。
父親の様にはならないと思って家にあった銃で猿を殺そうとするが、自分が銃を撃ったことで猿たちが銃の使い方を覚えてしまったため、その事を反省している。
猿たちと戦う可畏を見て、母親である水分とお腹の子は自分が守ると決めている。
由良(ゆら)
アグニの妻。
狩猟から帰って来たアグニとセックスをしていたところを猿たちに襲われてしまう。
アグニの動きを真似してくる猿たちから強姦されそうになる。
猿に刺されるアグニの姿を直視してしていたことから精神を病んでしまい、その後は常にブツブツと独り言を言う様になってしまう。
風太(ふうた)
可畏が家で買っている犬。
家族に懐いていて近づいてくる猿に対して敵意をむき出しにしている。
猿に向かって銃を撃とうとする宇陀を止めようしたり、猿たちが模倣をしていることを理解している様子。
多聞(たもん)
可畏の父で村人たちの前頭領。
獣に引っかかれて左眼を失明している。年老いているが激高している喜助を村から追放したり、いまだに村の中では権力を持っている。
村人たちから臆病者扱いされている可畏に対しても理解を持っている。
伊邪凪(いざなぎ)
猿たちに襲われた森吉の村から逃げて来た男。猿たちに異常な恐怖心を抱いている。
妻以外の女との経験が無かったため、他の女と交わることに興味があり、妊婦の水分のことを強姦しようと狙っている。
村人から逃げる途中に喜助に見つかってしまい、村人たちに復讐をしようとする喜助の部下として行動を共にすることになる。
喜助(きすけ)
幼馴染みの吾平が殺されたことで取り乱して猿を殺すために可畏や水分たちも一緒に閉じ込めて焼き払おうとする。
村人を殺そうとしたことで多聞により村から追放される。
自分を追放した村人たちのことも恨み、猿たちを利用して村人たちを支配しようと考えている。
猿たちが銃の使い方を知ったのが宇陀のせいだと知り、可畏一家に対しても恨みを持っている。
「さるまね」の面白さ
猿たちの襲撃によって殺されてしまった村人たちの家族たち。
猿に噛まれた可畏…震えが止まらなくなってしまい、隣の村まで薬を分けてもらいに行ってみるが…誰もいなくなっていて…。
ストーリーが進むにつれて残虐性が増していっている猿たち…伊邪凪は自分たちの村を襲った猿とは違うと言っているし…。
罠にかかった猿を逃がした村人は誰なのか…村人同士が疑心暗鬼になって…お互いをさげすみ騙し合って人間同士まで争いだしてしまいます。
お互いが信用出来なくなっている村人たちは次の猿たちの襲撃を乗り越えることが出来るのか…?
猿を利用して村を支配しようと考えている喜助と伊邪凪は何をしようとしているのか…。
- 家族を亡くした村人たちはお互いを信用出来ずに村人同士で争ってしまいます。
- 隣の村では村人が誰もいなくなっていて…。
- 猿たちはますます残虐になっていきます。
- 伊邪凪は自分の村を襲った猿とは違うと言っているし…猿にも種類がある?
- 猿を利用としている喜助の不気味さ…。
- 村人たちはどうなっていくのか今後の展開がとても楽しみ!
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