「テセウスの船」は東元俊哉の作品です。モーニングで2017年30号から2019年30号まで連載がされ、全10巻で完結しています。
「テセウスの船」のあらすじ
1989年6月24日に北海道の音臼村。小学校のお泊り会の夕食時に児童16名と職員5名が亡くなる事件があった。無差別殺人事件の犯人として捕まったのは主人公の田村心（しん）の父親である佐野文吾でした。
心の家族は事件あと、母親の旧姓である田村を名乗りながら、犯人の家族であることを隠し、素性がばれるたびに転校を繰り返して肩身の狭い思いをしながら生きてきました。
成長した心は妻の由紀と結婚し、由紀は妊娠をしていました。
由紀は事件当時のスクラップ記事をまとめていて、心の父親である佐野文吾は冤罪なのではないかと考えていましたが、心自身は由紀とこれから生まれてくる子供の幸せだけを考え、忌まわしい事件の記憶は忘れようとしていました。
ある日、由紀に陣痛が訪れて子供が出産しますが、由紀は子供の出産と引き換えに亡くなってしまいます。
由紀の葬式で、由紀の父親から、犯罪者家族であることを罵られ、生まれたばかりの子供を引き取るといわれます。心自身も生まれてきた子供にまで自分と同じような思いをさせたくないと考えて、子供のためには自分が親ではない方が幸せになれるのではないかと考えますが、子供の笑顔を見て、由紀の分まで子供と一緒に生きていくことを決心します。
それまで、心は事件について深く知ろうとしませんでしたが、由紀が残した事件のスクラップ記事を見ているうちに、父親である佐野文吾は冤罪なのではないかと考えはじめます。
真相を探るため、心は無差別殺人事件の舞台である音臼小学校を訪れます。小学校についたとたん、霧が出てあたり一面が白くなり…音も何も聞こえなくなり、霧が晴れたあとにたどり着いた先は事件が起こる前の1989年1月7日の音臼村でした。
28年前の当時にタイムスリップをした心は父親である佐野文吾と対面し、自分が理想としていた父親であったことを知り、佐野文吾の死刑が冤罪と確信した心は未来を変えるために事件の真相を探っていくことになります。
作品の特徴・面白さ
テセウスの船は、犯罪者家族というだけで肩身が狭く、謝り続ける母親。そのことで精神を病んで鬱になり…苦労をした母親。主人公は死刑囚である父親を憎んでいたが、タイムスリップをして、父親が冤罪であることを確認し、未来を変えようとしていくサスペンス作品です。
「テセウスの船」とは、船の修復作業にすべての部品を交換した場合、修復された船は最初の船といえるのかという問題を指すパラドックスのひとつですが、本作品では、タイムスリップをした人物によって過去が変えられた場合、今を生きている人物はタイムスリップをしてきた人物と同じなのか…作品の終わりに矛盾を「テセウスの船」として考えさせられる作品です。
緻密で丁寧に練りこまれたストーリーで家族というものを考えさせられるとても面白い作品です。全10巻で読みやすいボリュームなのでぜひ読んでください。
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テセウスの船が好きならおススメの作品
僕だけがいない街
テセウスの船が好きな人には「僕だけがいない街」もおススメです。
ストーリーは全然ちがいますが、作品の舞台が北海道であることや、タイムスリップをして過去の事件を変えていく内容が同じです。
テセウスの船は主人公が大人のままタイムスリップをしますが、「僕だけがいない街」は子供になってタイムスリップをする作品です。両方ともとても面白い作品なので、ぜひこちらも読んで見てください。
